青空文庫を400字程度に要約
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住居(すまい)から五町ほどいった浜辺に酒倉がある。そして真白なその肌は、そこに働いている男たちの評判になった。
学校でやった縫物を持ってきたり、リーダを抱えて兄の部屋へはいってゆくことがたびたびあった。夏の夕方、三人は海へ出た。 音と胴が波を噛む音とに彼らの会話は弟の耳へは達しなかった。弟は、白暮の冷い光りの中に浮びでている二つの顔に、じいっと神経をたてた。 答えないで、弟は力限り漕(こ)いだ。彼の肩から二の腕へかけて真白な肉瘤が盛り上りその上に汗がいた。舟は彼のからだとともに劇(はげ)しく揺れ、空には星が輝き、そうして彼らは涯(はて)しのない淋しさの中へ出ていった。 そして水の中を白坊主のような水母(くらげ)がいくつも浮いて通った。 今度は兄が声高(こわだか)に笑った。 彼女を顧(かえり)みた。 空の星が自分の汗の中へ溶けこんでくるほどの快さであった。兄と彼女が空虚な眼を※(みは)った。 PR |
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