愛と認識との出発 過失 ――お絹さんへの手紙―― 二

お絹さん、どうぞ何よりも心を安らかにしてください。神様は畏れねばなりません。
聖旨を待って謙遜な心を失ってくださるな。聡明（そうめい）なるお絹さん！　私の申すこの思想があなたに解（わか）らないはずはありません。

そのようなことを気にかけてはいけません。あなたを傷つけてはなりません。あなたを重んじ、この後もそれを続けなくてはなりません。
神様はあなたの心をどのような仕方で育てたもうご計画かわかりません。純なやさしい心の芽を乾らばしてはなりません。私はあなたの愛をもみ消そうとはいたしません。あなたにそのように思われるのはいやどころではありません。純な、人間らしい善い芽はのばさなければなりません。私たちは神様を畏れなければなりません。
あなたと間に恋が生まれるのは、神様の聖旨であるかどうかはたしかでありませんということです。気にはなりません。解るものではありません。
病人は大切にしてやらなければなりません。

原典: 『愛と認識との出発』倉田百三