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青空文庫を400字程度に要約
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妹を誘惑(ゆうわく)して堕落(だらく)の境(さかい)にひきこもうとしつつチビ公をさがしまわった光一がいま下陰で見たのはたしかに妹文子の片袖(かたそで)とえび茶のはかまである。
風が出て松のこずえをさらさらと鳴らした。

千三はあきれて目をきょろきょろさせた。「やい、きさまはここでなにをしてるんだ」「ぼくは高麗(こま)犬の写生をしてるんだよ、どうもね、一つの方が口をあいて一つの方が口をしめてるのがふしぎでならねえ」と千三はいった。
「なにがふしぎだ、きさまがここにいる方がよっぽどふしぎだ、ばかやろう!」「きみは本当にそんなことをいってるのか」と千三は改まった。
千三は座ったまま動かなかった。
文子さんを誘惑したという疑いがおれにかかってるものなければならぬ。
千三はこう肚(はら)の中でいった。
千三はじっと目をすえて光一をにらんでいた。
「へたなやつだなあ」と千三は肚(はら)の中でいった。

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