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青空文庫を400字程度に要約
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心くばり、方向というものがこの作品には充実して盛られている。
心の含蓄という奥ゆきが、欠けている。このことは、とき、おふみが「よかったねえ!」と芳太郎に向って「どうだ! 参ったろう」という、表現の緊めかたでもう少しの奥行が与えられたのではなかろうかと思う。

十分意を達した表現とは感じていないのではなかろうか。おふみと芳太郎とが並んで懸合いをやる。あれであれでその間におふみと芳太郎とが万歳をやりながら互に眼を見合わせるその眼、一刹那の情感ある真面目さ内容的に雄弁につかまれ活かされたら、どんなに監督溝口が全篇をそれでペソスが湧いたか知れないと思う。おふみと芳太郎とは、漠然と偶然にチラリと目を合わすきりで、製作者の表現のプランの上に全然とりあげられていなかったのである。
溝口氏が益々奥ゆきとリズムとをもって心理描写を行うようになり、ロマンティシズムを語る素材が拡大され、男らしい生きてとして明察を行ったらば、見ものであると思う。

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