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青空文庫を400字程度に要約
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――われ爾(なんじ)が冷(ひやや)かにもあらず熱くもあらざることを爾のわざによりて知れりわれ爾が冷かなるかあるいはからんことを願う――弟はゆうべ床で読んだ聖書の句を繰り返えしながら寝着(ねまき)のままで裏へ出た。雑草が重味で頭を下げ霧に包まれた太陽の仄白(ほのじろ)い光りの下に胡麻(ごま)の花が開いていた。跫音(あしおと)を聞くと兄は振返えって微笑んだ。

内臓が出てきた。
兄はそれをブリキ板ごと、前の井戸の中へ放りこんだ。胃袋や肝臓や直腸が板をばらばらに水の中に浮き沈みした。方へ引き返えした。
日、小さな車に柳行李(やなぎごうり)を積んで弟と歌津子とが停車場まで送っていった。汽車が出てしまってからも彼女はいつまでもあとを見送って立っていた。
後姿を見守った、そして車のところへ戻って、提灯(ちょうちん)に火を点(つ)け、寂(さび)しい車輪の音をひびかせながら彼女のあとを家に帰った。

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