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青空文庫を400字程度に要約
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 久須美(専務)は五十六であった。
実際私はそんな心、反抗を、ムダな心、つまらぬこと、と見ていたが、おのずから生起する心は仕方がない。

「人間侮蔑っていったね。僕が人を土俵にたたきつけるのが人間侮蔑だってえのかい。だって、それじゃア、年中負けてなきゃアお気に召さないてんじゃア」「そうじゃないのよ」「じゃアなんのことだい」「いいのよ、もう。私だけの考えごとなんですから」「教えてくれなきゃ、気になるじゃないか。かりそめにも人間侮蔑てえんだからな」「いっても笑われるから」「つまり、女のセンチなんだろう」「ええ、まア、そうよ。綺麗な海ね。ここが私の家だったら。私、今朝からそんなことを考えていたのよ」「まったくだなア。土俵、見物衆、巡業の汽車、宿屋、僕ら見てるのは人間と埃ばっかり、どこへ行っても附きまとっていやがるからな。なア、サチ子さん、相撲とりが本場所が怖くなるようじゃア、生れ故郷の墨田川へ戻るのが怖しくって憂鬱なんだから、僕はお前、こんなところでノンビリできりゃア、まったく、たまらねえな」「花相撲に帰らなくってもいいの?」「フッツリよした。叱られたって、かまわねえ。義理人情じゃア、ないよ。たまにゃア人間になりてえ。オイ、見てくれ。これ、このチョンマゲ、こいつだな。人間じゃないてえシルシなんだ。鶏に鶏の形があるみたいに、相撲とりの形なんだぜ。昔はこいつが自慢の種で、うれしかったものだけど」 私たちは米を持ってこなかった。

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