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青空文庫を400字程度に要約
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戦争中は事務員だったのだが、戦災で一挙に肉親を失った。
「奥さん、ノブちゃんの心境を変えるようになんとか助けて下さいな」「だめ。口説くことだけは独立独歩でなければだめよ」「友情がねえな、奥さんは。すべてこの紳士淑女には義務があるです。それは何かてえと友の恋をとりもつてえことですよ。私が女をつれて友だちに会う。するてえと、私は友達よりも私の方が偉いように威張り、また、りきむです。これ浮気の特権ですな。したがってまた友だちが女をつれて私の前へ現れたときは、私は彼の下役であり、また鈍物であるが如く彼をもちあげてやるです。これを紳士の教養と称し義務と称する、男女もまた友人たるときは例外なくこの教養、義務の心掛がなきゃ、これ実に淑女紳士の外道だなア。奥さんなんざア、天性これ淑女中の大淑女なんだから、私がいわなくっとも、なんとかして下さるはずなんだと思うんだけどな」
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 久須美(専務)は五十六であった。
実際私はそんな心、反抗を、ムダな心、つまらぬこと、と見ていたが、おのずから生起する心は仕方がない。
女中のオソヨさんは布団をすて、コートに火がついてコートを羽織も無一物であったが、敏腕で布団と毛布をかりてくるまり、これも活躍で乾パンを三人前、といったって三枚だ、一日にたったそれだけ、あしたはお米を何とかしてあげる、と係りの者がいうので空腹だけれども我慢して、そして私はオソヨさんが、東京は無一物で、どうして帰れることやら、などとさまざまにこぼすのをききながら、私はしかし、ほんとにそうね、などと返事をしても、実際は無一物など気にしてかった。
私は話をきいていても、言葉を鼻で嗅ぐようになった。
顔を母が願いを許したのは、ゴルフとは華族とか大金満家とか、特権階級という遊びで寄りつけないものだと話にきいて知っていたからで、だから高価なゴルフ用具もまったく驚く顔色も買ってくれた。若者には華族であろうと大金満家の御曹子であろうと挨拶されてもソッポを向くこと、話しかけられてもフンとも返事をしないこと、その一日の出来事を報告して指示を仰ぐこと、細々と訓示を受けたが、大金満家か大華族に見染められればいいという魂胆で、二人づれでゴルフに行くなんて破天荒の異常事だということなどは気がつかないのだ。
そこで急いで剣を抽(ぬ)いて出ていって切りつけた。剣は怪しい男の股(あし)に中って一方の股が落ちた。 玉は女を抱きかかえて室の中へ伴(つ)れて来た。
その指を験(しら)べると右の拇(おやゆび)が断(き)れていた。
玉は阿英に出ていかしたことを後悔したが、どうすることもできなかった。


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