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青空文庫を400字程度に要約
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杉兄弟は歌津子とほとんど同じ一つの揺籃の中で育った。手で真紅(まっか)な帽子を被(かぶ)せられて、誇らしさとよろこびに夢中になったこともある。風車を廻すように、日なたできりきりと振り廻したこともある。日、彼らの明るい淀(よど)ない夢の世界に、決定的な出来事が起ったのであった。
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雄吉の心のうちに、ように食いついて青木に対する悪感を、青木は知らないのかも知れないと、雄吉は思った。
雄吉には、青木のそうした無変化さが、物足りなかった。
雄吉は、話題を見つけようと思った。
「青木君! どこへ」と、雄吉は思わず声をかけた。
雄吉にとっては、意外なことであった。
雄吉が、青木の依頼を諾々(いいだくだく)としてきいたのはである。
雄吉にとっては忘れられない四月の十一日の晩であった。
「はあ」と答えると、雄吉は気軽に立ち上った。
雄吉の心に青木に関した光景が浮んできた。
彼の心には得意と、希望とが混じりながら存在していた。彼は暗かった青年時代を回想すると、謙遜な心で幸運を享受することができた。
彼の心には、憂慮も存在してかった。雄吉は、身体にも心にも、戦闘準備を整えて、青木の近よるのを待った。
雄吉の心持にも劣らないほどの大きな激動が、青木の心のうちにも、存在しないはずはなかった。
久須美が帰ってきて、その気配でたいがい目がさめる。久須美が電燈をつけると、もうちょっと、あかりをつけないで、という。あかるい灯と、食卓いっぱいの御馳走が私の心を安心させ、ふるさとへ帰ったような落着きを与えてくれる。
子供心にそれが下品に卑しく見えて、母の無智無教養ということを呪っていた。


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